会長挨拶
会長 高平 尚伸
(北里大学大学院医療系研究科整形外科学 教授
北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科 教授)
このたび、第53回日本股関節学会を2026年10月23日(金)・24日(土)の二日間、パシフィコ横浜会議センターにて開催させていただく運びとなりました。伝統ある本学会を主催できますことは望外の喜びであり、これまで本学会を築き上げてこられた諸先輩方、そして日々股関節診療に携わっておられる全国の先生方に、心より感謝申し上げます。北里大学としては、1985年の第12回(山本真先生)、1997年の第24回(糸満盛憲先生)に続く三度目の開催となります。偉大な先達に続き、本学会を未来へとつなげる役割を担えることに身の引き締まる思いであります。
今回のテーマは「股医全遂(こいぜんすい)」といたしました。股関節に関わる以上、医師や医療スタッフはそれぞれの立場で責任をもち、保存療法から関節温存、人工関節置換、再置換に至るまで、そして小児から成人・高齢者に至るまで――あらゆる領域を学び、実践し、やり遂げることが求められます。炎症、壊死、外傷、スポーツ障害…病態は多彩です。股関節は人生を通じて人を支える関節であり、私たちはその全てに向き合わなければなりません。四文字に込めたのは、そうした決意であり、未来への挑戦です。
さらに、サブテーマには孔子の言葉「知之者不如好之者、好之者不如楽之者」を掲げました。知識を得るだけでなく、それを好み、そして楽しむことが真の力となります。股関節を「知り」、それを「好み」、そして心から「楽しむ」――その先にこそ叡智と実践が生まれます。本学会を“Have fun. Always have fun!” という精神で満たし、すべての参加者が股関節医療の面白さを実感できる場としたいと考えています。
学会ポスターには、感染症学で世界を救い本学の学祖でもある北里柴三郎、そして開催地を象徴する葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」を配しました。新千円札に描かれた普遍的なシンボルを引用し、股関節学会を日本から世界へと力強く発信する意志を込めています。配色は「アズーロ・エ・マローネ」――大海原と大地をイメージし、股関節医療の果てしない広がりと揺るぎない基盤を表現しました。
学術プログラムでは、AI・VR・ロボット技術を用いた未来型医療から、リビジョンや関節温存の実際、さらに「壁なしシンポジウム」による分野横断的な議論まで、多彩な企画を準備しております。また、女性医師や若手の活躍、リハビリテーションや看護を担うスタッフの視点を取り入れ、股関節医療を「チーム全体で進化させる」ことを目指します。股関節は一人の術者の手技だけでは完結しません。看護師の迅速な判断、理学療法士の的確な介入、そして医師の決断力――この三本柱があってこそ、患者の未来は開かれます。
海外からも、Prof. Moritz Tannast(スイス)、Prof. Yixin Zhou(中国)、Prof. Stephen K. Aoki(米国)、さらには韓国股関節学会の先生方を招聘し、国際的な交流の場を築きます。世界の叡智が横浜に集まり、股関節医療の未来をともに語り合う貴重な機会となることでしょう。
本学術集会は、知識の伝達の場にとどまりません。股関節を愛し、真剣に取り組む者同士がつながり、新しい挑戦に踏み出すエネルギーを得る場です。未来を担う若手にとっては「股関節を学ぶ喜び」を体感できる場にしたいと願っています。北里大学整形外科学教室一同、全力を尽くして準備を進めてまいります。どうぞ皆さまのお力添えを賜り、多くの方にご参加いただければ幸いです。横浜の地でお目にかかれる日を、心より楽しみにしております。